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十六夜神楽

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【十六夜神楽 (2012)】 Eine kleine


同人音楽という狭い世界の中で人気ジャンルの一つでもあるゴシック系。
Asrielの活躍以降、雨後の筍の如くその手のサークルさんが次々とデビューする訳です。
勿論Asriel登場以前にもゴシックらしきことをやってたサークルさんが存在した訳だけど、
一大ジャンルとして浸透したのはやはりAsrielの功績が大きいかなぁ、と個人的に思うのよね。
それから数年経った今、Asriel以外はどんぐりの背比べってイメージを持ってる。
この手のジャンルって海外のゴシックドゥームより耽美なV系からの影響下にあるのが常でさ、
最近はV系からそのまま流れてきてる様な動きもあるのかな。コテコテの姿を見るのも珍しくなくなった。
で、ゴシック系というのは同人音楽の入口のひとつでもあると私は思ってね。
V系に始まり、ALI PROJECTや妖精帝國とかが代表的かな…サブカルに触れていると何処かで接触するであろう、
これらのアーティストとゴシック系のサークルは音楽性が近い故に同人音楽を知らずとも、
何処かで触れたような感覚があるため、初めてでも戸惑いは無く受け入れやすい。
そして、この手のジャンルをすごく欲していたりしててすぐに同人音楽の虜になっていく。
色々なブログを巡回していると、大体みんなこんな感じで同人音楽にたどり着いてるのよね(笑
だから入口にした人が飽きて離れようとも、いつでも一定数の需要はあるんじゃないかなぁとは思ってる。
ただ数年前よりは競争は厳しいと思うけどねぇ~。

で、Sylfioreさんと猫の福音さんが融合したこのEine kleineもV系の匂いを感じさせる訳ですが、
前作のゴシックちっくなアートワークスから一変して、和風テイストなのが印象的な十六夜神楽。
前作についてTwitterで辛いことばかり呟いたのだけど、今思えば合同企画というよりは
2つだったサークルを1つにする事が狙いだったのかなぁ…と思い直すと、あれで良かったのか…ともね。
でも、この作品にはkukuriさんが見当たらなくてさ、不思議に思って今更ふらっと公式サイト見に行ったら、
去年Sylfioreさんを脱退されているじゃないですか!!ツインボーカルのハーモニー聴きたかったなぁ…。
ん?これってさ、つまり事実上Eine kleine=猫の福音ということになるのかな。布陣は同じだし…。

そんな風に置き換えて聴いてみても、今回の作品は猫の福音さんの作風とはまた微妙に違う。
和風テイストを意識しているのは視覚からもよく伝わるのだけど、和楽器を大胆に採用している。
いつもよりも情緒溢れる和風ならではの品の良い風格ある耽美さが現れている。
一番の違いは1曲目のインストで分かるのだけど、ヘヴィネスに傾倒した重たいバッキングリフやメタリックなリフ。
今まではメロディーに重点が置かれていた様なリフだからこれは大きな変化点。
ヘヴィネスに傾倒するとどうしてもメロディーを失う弱点を抱えるのだけど、そこを和楽器でカバー出来てる。
2曲目なんかはヘヴィなリフと和楽器の舞の絡み合いが気持ち良い。いつも通りの彼らの様で微妙に違う。
3曲目はイントロから随分とヘヴィなリフで責め立てたりして、従来のメロディアスさはどこへ…と一瞬戸惑うものの、
曲が進むにつれて今までの彼らには無かった展開が聴けたりする。
グレ風のドラマチックな展開が魅力的で、それを新しいEine Kleineの音として落とし込んでるのも好印象。
ちゃんと彼ららしさも生きてて、朔夜さんのクリーントーンギターのゆらめきなんて素敵じゃない。
こういう曲書けるんだ、ってちょっと見直した。この曲だけ特に飽きが来ないもの。
4曲目はアンプラグドみたいな無音の空間でくろねこさんの独唱。これも今までに無かったかな。

そんな訳で新しいこと尽くめの十六夜神楽、音からもう攻めの意志は充分感じました。
今回の変化は色々と決意表明的な部分もあったりするのかしら?などと今更ながら思いましたが、
ネガティブな感じはしないし、ナヨナヨした軟弱さもないしで結構堂々とした作品になってるなぁ。
でも、ナヨナヨした軟弱なメロディアスさも欲しいので、これから洗練されていったら良いなぁと期待を込めて。
3作目は勝負作。頑張って!!

by waage_94 | 2012-06-14 21:43 | 同人音楽